
世の中にはオープンソースプロジェクトがこれでもかというくらい出現しています。
かく言う私も自分の経営する会社でオープンソース無しでは成り立たない情報システムを作っていますが、オープンソースを使って良い所とだめなところが存在します。
今回は、特に中小企業でオープンソースを使ってはいけないところを中心に書いていきたいと思います。
一つ目はメールです。Postfix、qmail等メールに関しても多くのオープンソースが存在しますが、これを独自に運用するのはおすすめしません。
メールはセキュリティ上の考慮点が多いことと、プロトコルにいわゆる方言が多いので、独自に運用するハードルがとても高い分野です。
また、障害発生時の業務への影響という意味でも他の業務アプリケーションとは全く異なる影響があります。例えばWEBサイトが一時的に見えなかったり、見積システムが一時的に使用できなかった場合はそのことを謝罪すれば解決できることが多いですが、お客様からのメールにエラー応答してしまったり、送信できなかったりした場合は、重要な機会損失であるばかりではなく、企業としての信頼を損なうことがほとんどです。
メールは会社間のやりとりの証跡として扱われることも多いので、過去メールの紛失も重大な問題になりえます。
当然完璧なエンジニアリングにて完璧な運用を行えば防げることばかりですが、それにかかるコストとクラウドサービスを用いたコストは比べるべくも無いでしょう。
二つ目は認証基盤となるディレクトリサービスです。こちらもOpenLDAPを初めとしたオープンソースが存在します。
こちらもセキュリティの考慮点が多いことがまずありますが、何より多くの企業のクライアントOSのほとんどはWindowsであるということがポイントです。ユーザ管理・デバイス管理がWindowsOSによって制御される以上、ActiveDirectoryを使用することのメリットは大きいです。属性値を自由に定義できるOpenLDAPの汎用性はもちろん重要な局面もありますが、その場合も基盤としてActiveDirectoryを持っておき、そこから同期するという考えの方が良いでしょう。
三つ目は人事システム等社内機密に関わるシステムです。これは特に中小企業に当てはまりますが、技術的に簡単な内容であってもデータが公開できないため、障害解析に時間がかかったり障害の復旧を社員や外部のSEに安易に解析を依頼できないところがあります。結果として管理職以上が自分で解析して復旧することになります。
オープンソースには良い点もありますが、実際情報システムとして利用する場合には向き不向きがありますので、その点を考慮して導入判断することが必要です。